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出版翻訳家を目指して勉強中。
翻訳していて感じたことを忘れないようにブログに残していこうと思います。
ホームページはこちら http://glee.jp.net
月に1回、東高円寺のカフェで「洋書で英語勉強会」を開催しています。
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原点はあれか。

毎日、翻訳や原稿のチェックをしているのでブログに書きたいことは山ほどあるのですが、公開前のものは詳細を載せることができないので、なかなかブログの更新ができず……。今日はわたしが英語の勉強をはじめたばかりの遠い昔のお話です。

 

わたしには3つ上の兄がいます。兄は勉強が嫌いでした。英語は何より嫌いでした。

わたしが中学1年で兄が高校1年生だったある日のこと。学校から帰ってきた兄が、わたしに言いました。

 

「ねえ、英語で『冷たいもの』って言う時、something cold と cold something 、どっちが正解か考えといて」

 

英語の宿題が分からなくて聞いてきたのだと思います。中1のわたしに。高1の兄が。こう言い残して兄は友達と遊びに行きました。中学生になって新しく始まった英語は難しくもあったけれど、好きな教科でもありました。好きだったからこそ、兄の疑問に答えたいと思って必死で考えました。

日本語の語順そのままなら cold something だけど、何となくそうじゃない気がする。

まだ最初の数ページしか教わっていない中1の英語の教科書を広げ、わたしはヒントになる英語が書かれていないかすみからすみまで探しました。その時、目に入ってきたのが

I run fast.

という英文。fast を辞書で調べてみると「速く」と書いてある。「わたしは速く走る」という意味だ。そうか、英語ではどんなふうにという情報は後ろに来るんだ!

今考えるとちょっと頼りない根拠ではあるけれど、当時のわたしはこれで something cold が正解だと説明できると思って、達成感にひたりながら兄の帰りを待っていました。

 

ついに兄が帰ってきました。そして、英語のノートを開きます。

「お兄ちゃん、さっきの分かったよ。something cold が合ってると思う。なんでかっていうと──」

「あー、あれね。something cold だよ。よく考えたら、今習ってるのは something の後ろに形容詞がくるっていう単元だった」

 

オーマイガー。単元ていうか、答えそのままじゃないか。

 

苦労して考えて、やっと正解を見つけ、それを裏付ける証拠まで見つけたっていうのに。ありがとう、すごいね、って言ってほしかったのに……。

そして兄は、空欄の()がふたつ並ぶ英語の宿題に取り掛かりました。先に問1から問10まで、最初の()を something で埋め、それから後ろの()に形容詞を入れて。

 

知らないことを調べて答えを見つける快感と、努力が評価されるとは限らないという現実。どちらも翻訳にはつきものです。わたしの翻訳者としての原点は、あの日にあったのかもしれません。

 

 

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